Raw Breed / Killa Instinct 内ジャケの解説の和訳

アルバムがお蔵入りになってから20年たった2017年、インディペンデントレーベルながら正規リリースに至った Raw Breed の セカンドアルバム Killa Instinct のアルバム内のライナーノーツを和訳しました。アルバムがお蔵入り当時の事が、 Dust & Dope Recordings 関係者の Jee Van Creef という方によって解説されております。新作アルバムについても言及されており、完成する日が楽しみです。

 

1993年、メジャーレーベルのワーナーブラザーズ(以下、ワーナー)と契約したブロンクスの3人組ラップグループ Raw Breed。Drama (別名:Marc Rippin')、Bazaro (別名:Alaxander The Great)、And Burna (別名:Nick Swift) 達は2枚目のアルバム“Killa Instinct”の制作のためににハードワークをこなしていた。彼らのデビューアルバム“Lune Tunz”はインディレーベルながらカルト的人気を博し、ハードコアヘッズ達はさらなる作品を望んでいた。ワーナーは当初、ファンの期待に答えるために、15人のスタッフでチームを組み制作に意気込みを見せていた。シングルカットした“That's My N****”、“Carlito's Way”の2作に加えB面に収録された“Mouth Of Madness”がアンダーグラウンドヘッズに好評で、来る“Killa Instinct”への期待は高まるばかりであった。また、その段階でシングル2作品ののミュージックビデオの制作も決定していた。が、しかし、ミュージックビデオの制作は無く、店頭での大体的なプロモーションもなく、結果的に12インチのシングル2枚のみという粗末なものであった。

“Killa Instinct”の発売日が1996年9月24日に決定し、OutkastとDelinquent Habitsとのアルバムプロモーションツアーの間、Raw Breedはアメリカとヨーロッパの雑誌で好印象的な批評が掲載され、新作への期待は高まる一方であったが、レーベルによる突然のプロモーション中止の決定がツアーを中断させた。
アルバムの殆どの曲をレコーディングしたIce-Tのレコーディングスタジオ“The Crachouse”のあるLAにて、通達を確認すると“Carlito's Way”のミュージックビデオの撮影の延期、アルバム発売日の延期にも言い及んでいた。しかし、Raw Breedはレコーディングを続けリリースに向けたラジオ番組の宣伝のインタビューに答えていた。
その間、A&RのHowie Teeとそのスタッフは、実際に起こっている事についての説明はなく、グループは痺れをきかせていた。一ヶ月の沈黙の後に、メンバーの一人 Marc はプロモーション担当者と直接やり取りし、「プロジェクトは棚上げされ、白紙になった。ビデオの撮影は無く、アルバムの発売も無い。この決定はブラックミュージック部門の副代表とワーナーブラザーズの代表、直々のものである。」と伝えられる。彼がクルーの元に戻り、その事実を伝えたが、だれも彼の事を信じる事ができなかった。T.R. Love が責任者に問い合わせたところ、レーベルでは既に周知されており、それは事実であった。

数日後にミーティングにて、 Denise Brown (ブラックミュージック部門の副代表) は、アルバムがネガティブかつ暴力的な内容によりがゴミ箱行きになった旨を説明し、2つの選択肢「アルバム全体を再編し録り直す」、「全く新しいアルバムを一から制作する」があることを告げた。さらに「今まで以上にポジティブなコマーシャルシングルを作ることを約束するならば、ここまでにかかった制作費25万ドルを大目に見て、さらに30万ドルの予算を出す。」という条件を提示した。彼らが途方に暮れるのも尤であったが、最終的に要求を飲み、3枚目のアルバム“Blood, Sweat & Tears”を制作するために予算を使った。この間もビートはハードコアのままであったが、歌詞は検閲を通るように推敲された。(“Killa Instinct”にはペアレンタルアドバイゾリーのステッカーがあるが“Blood, Sweat & Tears”には無い。)

“Killa Instinct”の発売が近づき、Source誌に批評が載ったが、たった2.5マイクしか貰えなかった。ショウはキャンセルされ、資金が入らなくなり、契約が破綻した。レーベルの販売促進のサポート無しでレコードが店に置かれた。その後間もなくグループは解散したし、メンバーはそれぞれ別々の道を歩むことになるが、3人のメンバーは Raw Breed の頃と同様に、友人として親密のままである。

この度の Dust & Dope Recordings によるアルバム“Killa Instinct”の正規リリースに感謝する。そして来る、3部構成となる“Street Instinct”プロジェクトにて、彼らは公式に帰ってくる!“ブロンクスの放蕩息子たち”は、彼らが捨てざるをえなかった物を再び取り戻す用意がある。気をつけろ!彼らの言うとおり“Nobody will be safe”!